この記事は、ブログ記事にしていなかった制作物を、改めて製作した過程を残す為の記事です。2019-2022年初頭ごろまであまりブログに残すことをしておらず、過去を振り返れなかったので改めて記事にしています。
自作キーボードキットSparrow62の次世代版として、Sparrow62(+1)v2を作りました。
動機
Sparrow62(初代)を製作していました。
これから時間が経ち、他の製作も通して自作キーボードの理解度が深まりました。 今ならよりよいキーボードができると思い、製作に挑みました。
主な課題感は以下のような所です。
- コロナ禍の電子部品の高騰により、ProMicroが入手し辛くなっており、今更ProMicroを使うよりもRaspberryPiPicoを使いたいと思った。
- ほとんど1Uの構成にしていると、キーキャップが1U用のものしか使えず、多様なキーキャップを楽しむことができない。分割キーボードながら一般的なキーキャップセットを使えるようにしたい。
- 右手の右側にマウスをすぐ操作したいため、通常のキー配置のEnterやBackspaceを配置したくないが、このキーは使いたかった。
- トッププレート、ボトムプレートにアクリルを利用しており、キットを生産するにもアクリルカットが必要で、これの製造にかなり手間がかかる。
- 左右分割に2つのマイコンを使うのをもったいなく思っていた。片方は単機能ICでできないかと思った。
- MicroUSBでは接続したくない。
そこで、以下の点を作り込みました。
- RaspberryPiPicoを使用
- 通常のキーキャップセットが使えるキー配置
- 右手のキーボードの外側にマウスを置くために、右側のキーの数をおさえ左側が膨らむデザイン
- トッププレートを1.6mm厚PCB、ボトムプレートを2.0mm厚PCB、ロジックボードを1.0mm厚PCBで製造(ALL PCB)し、厚さを最小限にした
- 左手にRaspberryPiPicoを組み込み、右手はIOエキスパンダーICであるMCP23017を使用。
- RaspberryPiPicoからUSB信号のパッドを接続可能にして、USB-Cソケットを別途搭載。
これまでの特徴である以下の点は継続しています。
- 薄型Chocスイッチ v1/2 と、Cherry MX互換スイッチに対応
- スイッチ交換対応(ソケットによるホットスワップ)
- 数字キーありの63キー(60%キーボード)
- トラックパッドと併用するモジュールあり
これで期待通りのキーボードができあがりました。
販売
初代Sparrow62によりもかなりの自信作になりました。 まず、Boothにて販売をしました。
新しい Sparrow62(+1) v2 #自作キーボードキットの販売を開始しました! キーキャップを楽しんだり、マウス・トラックパッドとの距離を小さくしたり、多くの特徴を詰め込みました。 https://t.co/vOf9bwuJIFpic.twitter.com/pyNtexU1X0
— 74th (@74th) 2022年5月1日
その後、自信作となったため、遊舎工房で販売してみたいと思い、申し込みを行い、販売していただくことができました。 現在は販売終了したため、商品ページは残っていませんが、販売していることを記事にしていただいたこともあります。
現在は、最初の製造数を全て完売しました。 厚さの違うPCBを注文していたため、わりとPCBの製造にコストがかかり、完売後の再製造には踏み切れませんでした。
2025年3月のキーケットにて、3代目を製作しました。それはまた別の記事にします。
振り返ると
かなりこだわりの強いキーボードを世に出すことができました!
技術書典のオフラインイベントにて、私がブース出展している機会として、更にカスタマイズしたSparrow62(+1)v2キーボードをわざわざ見せに来てくださったかたがいらっしゃいました。 非常に嬉しいことでした。 自分のこだわりが伝わり、更に他の方のこだわりに加勢でき、良かったなと思います。