tl;dr
- USB PD 仕様の電源に対して、CC ラインで通信することで、特定の電圧を出力刺せることができるよ
- USB PD の電力利用(Sink)側用の IC がいくつか出ているよ。WCH からの CH224 が出ていて、設定を変えればできるよ。
- 逆電防止や、スイッチ機能に、Pch-MOSFETを付加したよ。この辺りは、じがへるつさんの『Type-C 電子工作クックブック』を参考にしたよ。
時々欲しい 9V、それは USB PD 電源にあるのに
電子工作で遊んでいると、5V は USB から簡単に取り出すことができますが、時々 9V が欲しいシーンがあります。9V は、USB PD 電源では CC ラインにて電源通信すること供給することができます。USB PD IC を使って簡単に取り出すことができたら便利だなと思っていました。
それは USB PD トリガーケーブルと呼ばれて、既に多くが商品化されています。
じがへるつさんの『Type-C 電子工作クックブック』にて、USB 電源の利用(Sink)側のコントローラ IC を利用して、電圧を取り出す解説がありました。せっかくなので、これをトライしてみたく、コントローラ IC を入手して作ってみようと思いました。
USB PD Sink コントローラとして CH224 を使う
私のブログに高頻度に登場している WCH 社ですが、こちらから USB PD Sink コントローラ IC、CH224 が出ていることを見つけました。秋月電子通商でも購入することができます。1 個 100 円です。
Aliexpress 上の WCH の公式ショップでも USD 11.97/20pcs で購入することができます。
20Pcs/Lot CH224 USB PD Sink Support 4V~22V OVA OTA - AliExpress
ピンアウトは以下の通りです。
CFG1-3 を特定の値にすることで、出力電圧を制御できます。
この CFG1-3 の設定には、はんだごてで設定するジャンパをつけておきました。後で切り替えられるようにスイッチにすることもできますが、スペースを節約したいのと、必要な電圧の種類だけ数生産したり、はんだごてを使えば良いと思い、そのようにしました。
逆電流防止と、ロードスイッチに、Pch-MOSFETを付加する
逆電防止にはダイオードをつければ良いですが、じがへるつさんの『Type-C 電子工作クックブック』にて、Pch MOSFETを利用して同時にロードスイッチとする解説がありました。これを取り入れてみたいと思いました。
CH224 は、期待の電圧になったかどうかを示す Power Good 機能があります。PG ピンが Low になったときが、期待の電圧が得られている状態になります。よって、この PG を流せば Pch MOSFETで作ったロードスイッチに流せば、目的の電圧になるまで、ダウンストリームには供給されなくなります。
これに加えて、ロッキングスイッチを使い、ダウンストリームへの供給を制御できるようにしました。
出力インターフェイス
任意のプラグを接続しやすいユーロブロックと、DC ジャックを用意しました。これで任意のデバイスに電圧を供給できます。
なるべく VDD と GND をを太くする
配線にあたっては、VDD を太くしたいと思いました。そもそも利用している USB ソケットが VDD 2A なので、それ以上は流せません。
2A を流すための配線幅を調べると 1mm と出てきました。多くの所はベタで 1mm 以上確保しつつ、1mm で配線するようにしました。
2A 流すために、ビア径を調べると、0.8mm で 1.2A の記述を見つけました。0.8mm のビアを 4 つつけておきました。
回路図、KiCad ファイルは GitHubにて公開中
制作した KiCad ファイルおよび、回路図は GitHubにて公開しています。チップ抵抗と、USB ソケット以外は、秋月でも手に入るものを利用しています。
回路図(Kicanvas)
Booth にてキットとして販売中
こちらはキットとして Booth にて販売を開始しました。
一方
そろそろ安定化電源を買う頃合いかもしれない。。。